生きることに『てぼけ』?

2023年7月18日
水曜日
くもり あめ

 まだ雨が降っている。
 秋田市の水害は甚大だったらしい。特に駅東地区は太平川の氾濫で大方が床上浸水。また楢山地区も旭川の影響か、床上、床下浸水があったようだ。

 終日在宅。
 夜のテレビ、観るべきものもなし。
 久しぶりにパソコンに新聞から「一語一会」なる秋田弁解説を取り込む。

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秋田魁新報より
==-語-会==

てぼけ

 針の穴に糸を通すこ とは幼子と老人にとっ て難儀な仕事だ。視力 と技術が問われる゜た め息交じりに「このてぼけ!」と言ったり言われたりしたことはないだろうか。裁縫、手芸、工作など器用にこなしてこそ一丁前か。手先が不器用だと人に叱咤されるか、己のぷざまさに舌打ちするしかない。
 「てぼけ」とは不器用で手の働きがおぼつかないさまを言う。県内全域で用いられており、「手惚け」の意で理解されていることと思う。この場合の「惚け」は手技が思い通りに働かないことを指している。
 ところが、「不器用」を表す語を東北各地で収集すると、「てぼこ」 「てぼかい」 「てぼき」 「てんぼ」などがたちどころに得られる。「てぼこ」とは綿の入った防寒用のミトン(親指のみ分かれた手袋)のことで、これをはめたまま作業をしていては手が思い通りに働いてくれない。いずれの語も苛立ちという感情で共通する。その気分を「手惚け」と解釈するようになったらしい。もちろん、障碍者差別の語として使う人はいないだろう。 「あえだばなしてそんたにてぼけなんだべが(あいつは何でそんなに不器用なんだろうか)」。才不才は人それぞれとしか言いようがない。
 勇ましく防衛費増額を主導する御仁が、反対する人を「平和ぼけ」と非難する場面がある。こちらは「てぼけ」と違い、異なる考えに対する決めつけの嫌味を感じる。   (佐藤稔)
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 かっこよく言えば老生、生きることに『てぼけ』だったようだ。