気になる『発覚』について

2017年12月2日 土曜日 ゆき

終日在宅。

昨日の『細かいこと』だが、「前立腺がんが発覚し」の『発覚』について。 広辞苑4では

>はっかく【発覚】罪悪・陰謀または秘密・隠し事のあらわれること。「悪事が―する」

 病気「前立腺がん」は罪悪、陰謀、秘密、隠し事ではない。これは医師によって分かったこと、発見されたこと、明らかになったことであり、発覚ではないだろう、というのが老生の理屈なのだが…。 西郷輝彦ががんであることが単に分かったことをあたかも陰謀が露見したが如く書くことに違和感を持つのだ。

ネットでも老生と同じような感じを持つ人もいて…


https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/164.html

「検査をして病気が発覚した」という言い方は、おかしいのでしょうか。

グレーゾーンです。「発覚」は、もともと「よくないことと知りながら、わざと隠していたことが、ばれてしまうこと」という意味です。「検査をして病気が見つかった」と言えば済む場合が多いのではないでしょうか。

「発覚」の「発」という漢字は、むかしは「(秘密を)発く」と書いて「あばく」と訓読みをしていたことがありました(現代では「(秘密を)暴く」と書くのが一般的です)。「発」の字が「隠されているものを表に出す」という意味で用いられている例は、いくつかの漢字熟語にあります。

告発:犯罪などの事実を、さらけ出すこと。

摘発:よくないおこないを、あばき出すこと。

発掘:埋まっているものごとを、掘り起こすこと。

お尋ねの「発覚」は、「よくないことと知りながら、わざと隠していたこと」に対して使うという習慣が、長く続いてきています。「病気」は「よくないこと」なので部分的には条件を満たしているのですが、「(その存在を知っていて)わざと隠していた」わけではないので、あまりふさわしい言い方ではないということになります。

これについて、ウェブ上でアンケートをおこなってみました。「A:診察を受けて、胃かいようが【発覚】した」「B:隠していた悪事が【発覚】した」という2つの文について、正しいと思うかどうかを尋ねたところ、全体としてもっとも多かったのは「B(悪事)は正しいが、A(胃かいよう)はおかしい」という回答でした。しかし若い人の間ではこの答えの割合が少なくなっていて、「どちらも正しい」や「A(胃かいよう)は正しいが、B(悪事)はおかしい」というものも、ある程度選ばれるようになっています。

また、「○○との熱愛が発覚」「一般男性との交際が発覚しました」という使い方も現代ではなされていますが、あまり感心しません。そうした事実は「わざと隠していたこと」なのかもしれませんが、別に「よくないこと」ではないからです。などと上から目線で語り続けていると、私の底の浅さが発覚してしまうかもしれないので、このあたりでやめておきます。